親知らずの抜歯
親知らずの抜歯

「親知らず」は、顎(あご)の一番奥に生える歯で、前から8番目に位置します。はじめからない方や上下左右の4本が揃っていない方もいます。横や斜めに生えている方や、埋まったままの方も多く見られます。他の歯と同じように正常に生え、しっかりかみ合っている場合はとくに問題はありませんが、悪影響をもたらす生え方の場合は、抜歯を検討する必要があります。
「親知らず」が完全に顎の骨の中に埋まっていて周囲に病気がない場合、きちんと生えそろっていて嚙み合っている場合は抜歯の必要はありません。
男女を問わず年齢とともに骨の硬化が進みます、特に男性は一般に女性より骨が硬い傾向にあります。このため、若いうちに「親知らず」の抜歯をすることで抜歯後の合併症のリスクを抑えることが期待できるため、高校生以降はできるだけ早期に親知らずの検査をしておくことをお勧めしています。
また、妊娠期間中はホルモンバランスの変化や口腔環境の変化で、炎症を引き起こしやすくなります。そのため妊娠前の女性は「親知らず」の検診を検討されることをお勧めしています。
「親知らずの抜歯」は、詳しい診察が必要となります。お悩みの際はお気軽にご相談ください。
「親知らず」の抜歯を行う際に重要なことは、状態を正確に把握することです。
下顎の骨の中には神経や血管が通るトンネル(下顎管)があります。下顎の親知らずの根は下顎管内の神経を圧迫したり、巻き込むことがあります。一方、上顎の親知らずの根は、ほほにある空洞(副鼻腔)に刺さっていることがあります。
「親知らず」の抜歯術後の神経障害や副鼻腔炎のリスクを評価するため、歯科用CTを撮影しています。検査結果の説明を聞いていただき治療を受けるかどうかを決定いただけます。
「親知らず」の根の先が神経を圧迫し、治療後の知覚麻痺のリスクが高いケースに対しては1回目の治療では頭の部分(歯冠)のみを除去し、3~4カ月後にレントゲンで残った根の位置の移動を確認し、残りの根を抜去する二回法という治療方法を提案させていただくことがあります。二回法のメリットは術後の神経障害のリスクを軽減することが可能なことです。デメリットは2回手術しなければならないことや、健康保険での治療ができないことなどがあります。当院では2回法の抜歯にも対応しています。
Q.抜歯後の腫れや痛みは何日ほど続きますか?
A.
一番に治療を行う術者の経験により異なります。抜歯をされた方の要素としては、体質や年齢、親知らずの生え方により異なります。
当方で治療した方は、腫れは術後2日目をピークとして5日目でほぼ減少したとのお答えを多く聞きます。
また、術後の痛みは、鎮痛剤の使用期間が、3日以内が最も多く、その次に4~7日とのお答えを多く聞きます。3日目以降に痛みが強くなった場合や、1週間以上痛みが持続する場合は治癒不全(ドライソケット)と呼ばれる状態になっている可能性があります。1週以上続く痛みがある場合には再度ご受診いただいています。
Q.仕事や学校はどれくらい休んだほうがよいでしょうか?
A.
激しい運動や労作は治癒に影響するため、治療後5日程度、運動や激しい肉体労働は避けていただきますが、休暇が必須ではありません。ただし、抜歯当日はお休みいただくことをお勧めしています。また、疲労は術後経過に影響するため体調不良時、疲労時の治療は避けていただくようお願いしています。
Q.下顎の親知らず抜歯は神経麻痺のリスクがあると聞きましたが本当ですか?
A.
下唇からあごの先端部分の感覚を伝える神経が下顎の中を通る「下顎管」というトンネルに走行しています。親知らずの根の先が「下顎管」にくい込んだり、接触しているケースでは、抜歯後に下唇から顎の先に感覚の異常を生じる可能性があります。当院ではCTで親知らずと下顎管の位置関係を立体的に診断した上でリスクを説明し抜歯を実施するかどうかを決定しています。
Q.親知らず4本を同日に抜歯することは可能ですか?
A.
術後の摂食困難、発熱のリスクが高いため当院では同日の4本抜歯は行いません。詳しくは受診時にお尋ねください。
Q.何歳から治療が受けられますか?
A.
16歳未満は健康保険の適応外になる可能性があります。16歳未満でも親知らずの周囲組織に異常があり、治療が必要と判断された場合には健康保険で治療ができる場合もあります。
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